『べらぼう』第40回に登場した太輔、式亭三馬(荒井雄斗)とは?のちに「浮世風呂」「浮世床」を生む江戸の風刺家

式亭三馬とはどんな人物?
式亭三馬(1776年〈安永5年〉~1822年〈文政5年〉)は、江戸時代後期に活躍した戯作者・浮世絵師・薬屋で、 滑稽本の名作『浮世風呂』『浮世床』の作者として知られています。 名は菊地泰輔(きくち たいすけ)、字は久徳(きゅうとく)。 通称は西宮太助。戯号は四季山人・洒落斎(しゃらくさい)・本町庵・遊戯堂など、多数を使い分けていました。
当時、滑稽本と呼ばれる庶民向けの笑い話や風刺文学が人気を集めており、 式亭三馬はその中でもとりわけ庶民の日常や人情を生き生きと描き出す筆致で人気を博しました。 その文体は、のちの井原西鶴や山東京伝の流れを継ぎながら、より生活感あふれる笑いへと昇華させたと評価されています。
第40回の登場シーン
『べらぼう』第40回では、北尾政演(山東京伝・演:古川雄大)が、 たばこ屋を開くための資金を集めようと絵画会を開く場面が描かれました。 そこに登場したのが、太輔(荒井雄斗)さん演じる若き日の式亭三馬です。 彼は憧れの政演に近づき、著書にサインを求めるという“ファン”のような存在として描かれました。
この短い登場ながらも、江戸の戯作文化が次世代へ受け継がれていく象徴的な場面。 後の文壇を支える式亭三馬が、山東京伝から刺激を受けて創作の道に進んだという 史実をほのめかす演出となっています。
史実の三馬と山東京伝の関係
実際の史実でも、式亭三馬は山東京伝や恋川春町など、先輩戯作者たちの影響を受けて筆を取ったといわれています。 また、政演が「洒落本」や「黄表紙」で江戸文化の粋を描いたのに対し、 三馬はより身近な市井の人々の笑いや生活を題材にした「滑稽本」を確立しました。
つまり今回のドラマでの出会いは、江戸文学史における“バトンの受け渡し”を象徴する名シーンといえるでしょう。
荒井雄斗さんの演技と今後の展開
若手俳優の荒井雄斗さんは、明るく柔らかな表情と瑞々しい存在感で、 将来に夢を抱く青年・式亭三馬の初々しさを巧みに表現しました。 一見、短い登場ながらも印象的で、SNSでも「式亭三馬かわいい」「あの若者、のちの大作家?」と話題に。 今後のエピソードで、成長した姿として再登場する可能性もありそうです。
式亭三馬の代表作と功績
・『浮世風呂』…銭湯を舞台にした人間模様を通して江戸の風俗をユーモラスに描いた代表作。
・『浮世床』…床屋での会話を通して、庶民の本音や世相を活写。 どちらも江戸庶民の“笑いと哀愁”を絶妙に表現し、今日でも落語などで引用されるほどです。
まとめ
『べらぼう』第40回で登場した太輔(荒井雄斗)さん演じる式亭三馬は、 後に江戸文学界を代表する風刺作家へと成長していく重要人物です。 北尾政演との出会いは、彼の創作人生の始まりを暗示する意味深いシーンでした。 わずかな出番ながらも、視聴者の印象に残る名脇役として今後の展開にも期待が高まります。
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