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歴史ドラマ解説

オロシャの船がやってきた!『べらぼう』第42回と1792年ロシアのラクスマン来航の史実

オロシャの船がやってきた!──『べらぼう』第42回と1792年ラクスマン来航の史実

オロシャの船がやってきた!──『べらぼう』第42回と1792年ラクスマン来航の史実

オロシャの船がやってきた!──『べらぼう』第42回と1792年ラクスマン来航の史実
NHK大河ドラマ『べらぼう』第42回「招かざる客」では、オロシャ(ロシア)の船が日本に接近する緊迫した展開が描かれます。 この出来事は史実の1792年(寛政4年)に起きたロシア使節・アダム・ラクスマン根室来航をもとにしています。 ドラマの描写と史実の経緯を比較しながら、その背景を解説します。

■ 第42回「招かざる客」あらすじ

蔦屋重三郎横浜流星)が尾張に出かけている頃、江戸では「オロシャ(ロシア)の船が日本に迫る」という噂が広がります。 幕府上層部では、外国からの侵略ではないかと緊張が走り、松平定信ら老中は対応を協議。 江戸の町にも不安が漂います。

一方、蔦屋の妻・おてい(橋本愛)は妊娠を告げ、家庭では新たな命の誕生が待たれる一方で、外の世界は不穏な空気に包まれます。 この「オロシャ船来航」は、後の日本開国へとつながる“最初の接触”を象徴する出来事として描かれています。

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■ 史実:1792年、根室に現れたロシア使節ラクスマン

史実では、寛政4年(1792年)、ロシアの使節アダム・ラクスマンが部下とともに北海道の根室に来航しました。 目的は日本との通商交渉でした。 このときロシアは、漂流してカムチャツカに渡ってきた日本人・大黒屋光太夫を返還する名目で、幕府への接触を図ります。

ラクスマン根室の会所に滞在し、松前藩の家臣と交渉。 幕府側は即答を避け、「長崎以外の港での通商は認めない」とした上で、正式な使節は長崎を通じて入国するよう指示しました。 このときラクスマンに手渡されたのが有名な「信牌(通行許可証)」です。

■ ドラマとの違い──“侵略の恐怖”と“外交の始まり”

『べらぼう』では、オロシャ船の接近が「侵攻の脅威」として描かれますが、史実のラクスマンはあくまで外交使節でした。 ただし当時の日本では鎖国政策の真っただ中であり、外国船が来航すること自体が一大事件でした。

松平定信鎖国体制の維持を最優先としつつも、実はラクスマンに対して比較的穏やかな対応を取った人物でもあります。 彼は「武力ではなく外交での解決」を模索しており、ここに定信の理知的で現実的な判断力が表れています。

蔦屋重三郎の時代と“オロシャ来航”の衝撃

この1792年という年は、蔦屋重三郎がまさに出版業で最盛期を迎えていた時期です。 江戸では蘭学や海外事情への関心が高まり、ラクスマン来航のニュースは知識人・出版人の間で話題となりました。

蔦屋の出版する地誌や黄表紙にも「異国」「唐船」「オロシャ」などの題材が登場し、庶民の間でも「海の向こうの国」への興味が一気に広がります。 ドラマで描かれる緊迫した空気は、当時の庶民が抱いた“未知の恐怖と好奇心”そのものを表しているといえるでしょう。

■ その後の展開──ラクスマンの後に続くロシアとの関係

ラクスマンは結局、通商交渉を果たせぬまま帰国しましたが、これをきっかけに日本とロシアの関係は始まります。 のちに1804年、ロシアのレザノフが長崎に来航し、再び交渉を試みます。 これが失敗に終わると、樺太北方領土周辺では軍事的な衝突が起こるようになります。

つまり、『べらぼう』第42回で描かれる「招かざる客」は、史実的には“最初の外交の試み”であり、 やがて幕末へと続く「日本と外国の接触の幕開け」を象徴する出来事といえるのです。

■ まとめ:ドラマと史実が重なる“転換の年”寛政4年

『べらぼう』第42回は、江戸の出版文化と世界の動きが交錯する重要な回です。 史実の1792年、ロシアの使節ラクスマン来航は、日本が初めて「鎖国の扉」を少しだけ開けた瞬間でした。 ドラマではこの歴史の節目を、蔦屋重三郎松平定信たちの視点から“時代の揺らぎ”として描いています。

“招かざる客”──それは、やがて近代日本を動かす最初の波であり、 江戸の終焉へと続く物語の始まりでもあったのです。

 

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